出版社/著者からの内容紹介 写真は創造ではなく、記憶でもなく、ドキュメントであると、私は考える。撮影行為とは、抽象的なことではなく、常に具体的だ。単純なことを観念化して難しいものにしようとするのではなく、カメラという媒体を通して私が出会った現実がここにある。──中平卓馬 中平卓馬展「原点復帰─横浜」(横浜美術館、2003年)に際して刊行された、伝説の写真家?中平卓馬の全貌を知る貴重な一冊。 中平卓馬(1938年生まれ)は「アレ?ブレ?ボケ」と呼ばれた初期の詩的な作品を自ら否定し、「図鑑」のような即物的な写真を目指す最中の1977年に、逗子で倒れ記憶の大部分を失いました。 しかし、横浜に転居して翌年より撮影を再開、徐々に復活を果たし、現在も日々撮影行為を続けています。横浜は、写真家としての復帰の「原点」 であり、現在も日常的に最も多く撮影している場所であることから「原点復帰─横浜」は作家によって命名されました。 写真というメディアについて常に真摯に思考し、過激に実践してきた写真家の魅力が余すところなく納められています。 【主な掲載作品】 来たるべき言葉のために サーキュレーション──日付、場所、イベント 氾濫 都市?陥穽 奄美 国境?トカラ列島 沖縄 新たなる凝視 原点復帰─横浜 以上1960年代後半より2003年に至る全110点(カラー=69点、モノクロ=41点)を126頁に収録 【テキスト】 倉石信乃 「中平卓馬展 原点復帰─横浜」の概要と構成 八角聡仁 イメージの零度──中平卓馬「原点復帰─横浜」 森山大道 なぜいま、中平卓馬なのか 中川道夫 中平卓馬69/73 ホンマタカシ 落ちない流れ星?夏の思い出?朝青龍 【資料篇】 中平卓馬詳細年譜 文献目録 横浜美術館展示作品全画像 内容(「MARC」データベースより) 1960年代後半に始まる日本の写真表現の転換期に重要な役割を果たし、いまも現代の写真表現に影響を与え続けている中平卓馬の個展を記念した一冊。記憶喪失の病に倒れてから、再び写真家に復帰した思いが込められている。
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