僕の大好きだった人はこの写真集を見て泣きました。 僕もなんだかセンチメンタルになっちゃって 一緒に泣いてしまった。 そんな思い出の一品。 一緒にいよう 二人で泣いたあとそう言ったんだけど。 結局それは叶わなかった。 懐かしい僕の恋の終わりの一品。 写真集が文学足りうると初めて思った写真集。奥様の陽子さんとの新婚旅行と その20年程度後の 陽子さんが一人で辿った死への旅を一冊に仕立て上げた白黒写真集。新婚旅行の陽子さんが 全く無表情である一方 不治の病と闘う陽子さんの見せる笑顔が対照的。この表情の違いの中に それまでの夫婦生活を深読み出来ると思う。そうして 陽子さんの死への旅に それを写真に撮るという形でしか参加出来ない荒木さんの哀しみは 数多く挿入されている東京の風景写真に見事に表されている。壮絶な作家魂と言っても過言ではないと思う。夫婦純愛小説と言うと陳腐だが そういう本です。何度見ても心打たれる。
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